
『幼なじみ』
第25章 猛省
「フフフ・・・
なんか・・・
拓弥の・・・そういう・・・
おっちょこちょいな所・・・
昔と変わってなくて・・・
少し安心しちゃった・・・。
でも・・・
携帯と・・・電話付きの車・・・
持ってるなんて・・・
ビックリだよ・・・!
流石・・・
お坊っちゃまだね・・・?
フフフ・・・
アッ・・・あたしね・・・?
今・・・
大学行ってるんだけど・・・
バイトも
してないから・・・
ポケベルしか
持ってなくて・・・。
今は・・・とにかく・・・
先に美波を・・・
探しに行くから・・・
連絡先は・・・
また後で教えるね・・・!
必ず・・・
戻ってくるから・・・
絶対に待っててッ・・・!」
拓弥の名刺を・・・
慌ただしく・・・
胸元に仕舞った
悠希は・・・
余程・・・
美波の事が
心配なのであろう・・・
自分の近況話も
そこそこに・・・
パッと拓弥に背を向け・・・
通路突き当たりの
出入口に向かって・・・
ツカツカと・・・
去って行ってしまう・・・。
そんな・・・
悠希の背中を
黙って見送りながら・・・
一先ず・・・ホッとし・・・
多少なりとも・・・
穏やかな気持ちに
包まれた拓弥だったが・・・
先程・・・
土下座を敢行する前に・・・
サッと通路の壁際に
投げつけた・・・
薬物入りの紙袋の存在を
ハタと思い出し・・・
近付いて行き・・・
そっと拾い上げると・・・
辺りを見回しながら・・・
今一度・・・
丁寧にシワを伸ばし・・・
しっかりと
右手に持ち直した・・・。
