『幼なじみ』
第27章 待機
そんな・・・
有無も言わさず
行ってしまった・・・
春斗の背中を
見つめながら・・・
フゥッと・・・
一息ついた拓弥は・・・
暫く・・・
余りの緊張の連続で・・・
吸っていなかった煙草に・・・
そっと・・・火を着ける・・・。
すると・・・
薄暗く・・・
照明も疎らで・・・
何も置いていない
無機質な・・・この空間に・・・
ユラユラと・・・
白い煙が舞い上がり・・・
その煙の向こう側に・・・
蜃気楼の如く・・・
無数の人影が
ボンヤリと姿を
現してくる・・・。
拓弥が・・・目を凝らし・・・
よくよく見てみると・・・
なんと・・・先程まで・・・
春斗に向かって
黄色い声援を
送っていたハズの・・・
数十人の女達が・・・
心地よく流れる
ハウスに合わせ・・・
腰をクネクネと
妖しく動かしながら・・・
男達に・・・
ベッタリと寄り添い・・・
イチャイチャと
甘ったるいキスを・・・
交わす姿が・・・
否が応にも・・・
目に飛び込んで来た・・・。
『ケッ・・・最低だな・・・
コイツら・・・
結局・・・男なら・・・
誰でもイイって腹かよ・・・』
さほど・・・
可愛くも
オシャレでもない・・・
一見・・・
真面目風な女達の・・・
無秩序な姿を
目の当たりにした
拓弥は・・・
吸っていた
煙草の煙を・・・
遠くから・・・
フ――ッと投げやりに・・・
その女たちに
吹き掛けると・・・
顔を上げたまま・・・
暫く・・・
真っ黒な天井を
見つめていた・・・。