『幼なじみ』
第28章 脅威
そして・・・
更に勢いづいた・・・
春斗の兄貴は・・・
般若のような顔を
グイッと・・・
拓弥に近付け・・・
「お前・・・
本当に・・・
喜多見に利用されてる
だけなんだろうなァ・・・?
喜多見と
ツルんでるって・・・
ネタは
上がってんだよ・・・?!
ァンッ・・・?!
あんま・・・
舐めたマネしてッと・・・
ぶっ殺すぞッッ?!
ゴラァ――ッッ!!」
と・・・
もう少しで
宙吊りになって
しまいそうな・・・
プルプルと
チワワのように震える
拓弥に向かって・・・
容赦なく・・・
野太い声で
スゴんで来る・・・。
そんな兄貴の
ゴツゴツした指が・・・
喉仏に刺さり・・・
言葉を発しようとも・・・
息すら出来ない
拓弥の顔は・・・
次第に・・・
赤黒くなっていき・・・
苦悶の表情を
浮かべたまま・・・
拓弥は自分の左手を・・・
上下にパタパタと
動かしながら・・・
離して下さいッ!と
ばかりに・・・
必死になって
涙目で哀願する・・・。
すると・・・
何事かと・・・
左側のVIPルーム周辺が
にわかに・・・
ざわつき始め・・・
そんな・・・
周りの好奇な視線に
漸く気付いたのか・・・
見せ物じゃねーんだよ!
とばかりに・・・
ヒソヒソと
話し込む輩たちに・・・
メンチを切った
春斗の兄貴は・・・
徐々に・・・
腕の力を緩めてくと・・・
拓弥の胸元から・・・
ゆっくりと手を離し・・・
仕方なさそうに・・・
パンパンッと
自分の両手の平を払った・・・。