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『幼なじみ』

第29章  談合



そして・・・


この淫靡な空間の
一番奥へと・・・
辿り着いた二人は・・・


春斗の兄貴に続き・・・


暗幕のカーテンが
架かっている・・・
部屋の中へと・・・


サッと隠れるように
入って行く・・・。


四畳半程の薄暗い
この個室には・・・


火の灯るロウソクが
数本置かれた・・・
小さなテーブルを
取り囲むように・・・


真っ黒なソファーが・・・
コの字型に
設置されており・・・


奥の上座に腰を下ろした
春斗の兄貴と・・・
談合し易いよう・・・


二人は兄貴を挟んで・・・
向かい合わせに
静かに座った・・・。


すると・・・
瞬く間に・・・


テーブルに肘を付き・・・
前のめりになった
春斗の兄貴が・・・


狐のような
吊り上がった目で
拓弥を見据えながら・・・


静かに口火を切る・・・。


「んじゃぁ・・・
聞くけどな・・・


お前・・・
喜多見に何を頼まれた・・・?


取り敢えず・・・


お前が持ってる
喜多見の情報・・・


全部・・・
こっちに流せや・・・」


すると・・・拓弥は・・・


喜多見とは中学時代・・・
サッカー部の
先輩・後輩だったが・・・


卒業後は・・・
全く付き合いも無く・・・


たまたま最近・・・
渋谷のポーカー屋で
バッタリ再会し・・・
話はしたものの・・・


それ以降は・・・
今日まで連絡すら
取り合って居ないと・・・
一先ず・・・淡々と説明し・・・


そして・・・更に・・・


春斗の兄貴を前に
完全に・・・
腹をくくった拓弥は・・・


自分の右手に
長らく持っていた・・・
薬物入りの紙袋を・・・


そっと・・・
テーブルの上に置くと・・・


眉間にシワを
寄せながら・・・
黙って様子を伺っている・・・
春斗の兄貴の手元に・・・


ゆっくりと差し出した・・・。















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