『幼なじみ』
第29章 談合
「なんじゃ・・・こりゃァ?!」
紙袋を凝視したまま・・・
ドスの効いた声で
凄んで来る・・・
春斗の兄貴の
荒々しい鼻息で・・・
ユラユラと・・・
ロウソクの炎が
激しく揺らめく中・・・
腹を据えた拓弥は・・・
身動ぐことなく・・・
スッと・・・
頭を下げながら・・・
話を続ける・・・。
「兄さん・・・
スイマセン・・・
これ・・・
ハッパ【マリファナ】と
エス【覚醒剤】が入った・・・
紙袋なんすけど・・・
実は・・・この物(ブツ)・・・
喜多見さんに・・・
今日のバースデー
イベントまでに
調達して来いって・・・
渋谷のポーカー屋で
頼まれたモノなんすよ・・・。
言い訳するつもりは
ないッすけど・・・
東京連合が・・・
薬物ご法度なんて
全然・・・知らなくて・・・
俺・・・さっきまで・・・
このクスリ・・・
幹部の皆さん方が・・・
兄さんの
バースデーパーティーで・・・
盛り上がる為に
使うんだろうって・・・
勝手に想像してた
ぐらいなんすよ・・・。
で・・・初めは・・・俺・・・
大量の薬物調達なんて
怖ぇーし・・・
断ろうと・・・
思ったんすけど・・・
中学の時・・・
喜多見さんには・・・
部活で世話になったし・・・
結局のところ・・・
東京連合って名前に
完全にビビっちゃって・・・
喜多見さんの
指示通りに・・・
引き受けちゃったんす・・・。
本当に・・・
スイマセンでしたッ!」
更に・・・
頭をテーブルに
擦り付けるように・・・
深々と・・・
謝罪をしながらも・・・
春斗の兄貴に
オトガメを喰らう前に・・・
コトの全てを
話してしまおうと・・・
躍起になった拓弥は・・・
ここが正念場だと悟り・・・
勢いよく頭を上げると・・・
臆することなく・・・
話を続けた・・・。