『幼なじみ』
第29章 談合
「お前・・・
喜多見の指示通り・・・
この物(ブツ)持って・・・
一人で3時に・・・
屋上に行って来いや・・・。」
ハッとし・・・
言葉を失う拓弥に・・・
突然・・・
含み笑いを浮かべた
春斗の兄貴が・・・
深々と前屈みになり・・・
更にジリジリと・・・
拓弥に
にじり寄って来る・・・。
「なァ・・・拓弥・・・
お前の事・・・
100%信じた訳じゃ
ねーんだよ・・・
もしなァ・・・
今ゲロした話が・・・
全部嘘でよォ・・・
喜多見に濡れ衣
着せといて・・・
このあとお前に・・・
まんまと
バックレられたら・・・
ン・・・?分かるか・・・?
東京連合の幹部の間で
戦争が起きんだよ・・・。
まァ・・・
お前が逃げたとしても・・・
地獄の果てまで
追っ掛けるけどな・・・?
それになァ・・・
喜多見も喜多見で・・・
アイツ・・・
口が達者だからなァ・・・
屋上に・・・
幹部揃って行って・・・
喜多見を全員で
詰めたところで・・・
それこそ・・・
拓弥って後輩に・・・
物(ブツ)を
預かってくれって
頼まれただけだ・・・って・・・
シラ切られたら・・・
ヤツの思う壺・・・
そこで・・・
ジ・エンドって訳よ・・・。
なァ・・・拓弥ァ・・・
この俺が・・・
何が言いたいのか・・・
分かるよなァ・・・?」
果てしない恐怖の闇に・・・
いきなり・・・
突き落とされた
感覚に陥り・・・
思考回路すら
停止してしまった
拓弥に向かって・・・
薄気味悪く・・・
軽薄な笑顔を
浮かべながら・・・
春斗の兄貴は
更に話し続けた・・・。