『幼なじみ』
第29章 談合
すると・・・
拓弥と同じく・・・
明らかに動揺した様子の
春斗が・・・
ソファーで
ふんぞり返りながら・・・
拓弥の返事を
待ちわびる兄貴に・・・
いきなり・・・
身ぶり手振りも激しく
喰って掛かる・・・。
「ちょ・・・待ってよッ!
兄貴ッ・・・?!
じゃぁ・・・
この大量の薬物・・・
すんなり・・・
喜多見さんに・・・
渡しちゃうのかよッ?!
で・・・もしかして・・・
梨香が誘われた・・・
喜多見さん主催の
危なそうなパーティーに・・・
拓弥を潜入させるって
魂胆な訳ッ?!
喜多見さん・・・
結構・・・
ヤバい人間なんだし・・・
拓弥に・・・
もしもの事があったら・・・
兄貴ッ・・・?!
どうすんだよッ・・・!!」
興奮し・・・
熱く問い詰めてくる
春斗を横目に・・・
フンッと軽く・・・
鼻で息を吐いた兄貴が・・・
人を・・・
小馬鹿にしたような
薄っぺらい表情で・・・
続けて淡々と話し出す・・・。
「流石・・・春斗だなァ・・・
やっぱ・・・
俺の弟だけあって・・・
話が早ぇーわ・・・。
なァ・・・?拓弥・・・
お前・・・さっき・・・
この俺に・・・
この落とし前は・・・
キッチリ
自分でツケるって・・・
言い切ったもんなァ・・・?
だったら・・・
春斗が言った通り・・・
出来んだろ・・・?
ン・・・?!返事はどした?!」
またしても・・・
不気味に詰め寄って来る
春斗の兄貴を前に・・・
頭の中が段々と・・・
現実逃避し始めた拓弥は・・・
『やっぱり・・・
東京連合って・・・
甘くないなぁ・・・』と・・・
只々・・・
他人事のように・・・
実感するしか・・・
出来なくなっていた・・・。