『幼なじみ』
第30章 目撃
間もなくして・・・
着飾った女二人が・・・
何気なく通り掛かり・・・
楽しそうに
談笑する姿を・・・
目の当たりにした
あたしは・・・
ふと・・・
居なくなってしまった
美波を思い出し・・・
咄嗟に思わず・・・
大きな声を挙げる・・・。
「アッ・・・あたし・・・
こんなこと・・・
してる場合じゃないッ!」
サッと・・・
寄り掛かった壁から
背中を離し・・・
体勢を整えたあたしは・・・
まず手始めに・・・
情報収集にあたろうと
思い立ち・・・
美波を見掛けた人が
居ないかどうか・・・
辺りの様子を・・・
それとなく伺ってみる・・・。
すると・・・
酒を片手に・・・
男が女の腰に
手を回しながら・・・
イチャイチャと
仲良さげに話す
カップルの会話が・・・
にわかに・・・
耳に入り込んで来る・・・。
「さっきさぁ・・・
ここから
飛び出してきた女の子・・・
大丈夫かね・・・?」
「ホントホント・・・!
こんな楽しいクラブで・・・
何・・・泣いてんのか
知らないけどさぁ・・・
可哀想じゃない・・・?」
『もッ・・・もしかして・・・
美波の話してるッ・・・?!
拓弥に酷いコト
言われて・・・
ひょっとしたら・・・美波・・・
泣いてたのかも・・・
とにかく・・・
話・・・聞かなきゃッ・・・!』
ピンッ!と・・・
第六感が働いた
あたしは・・・
そのカップルに
ササーッと・・・
近付いて行き・・・
二人を凝視すると・・・
成り振り構わず・・・
大きな声で・・・
恥ずかし気も無く
無我夢中で話し掛けた・・・。