『幼なじみ』
第30章 目撃
そして・・・
バーカウンター手前で・・・
我先に酒を買おうと・・・
背伸びをしながら・・・
前方を見つめたままの
輩を追い越し・・・
漸く・・・
列の先頭まで
到着したあたしは・・・
チャカチャカと・・・
小気味良く酒を作っている
バーテンダーに・・・
大きな声で話し掛ける・・・。
「ねぇ!悪いんだけど・・・
アッ・・・!
お酒は要らないから・・・
ちょっと質問していい?!」
すると・・・
どうやら・・・
逆ナンされるとでも
思ったのか・・・
ニヤニヤしながら
パッと手を止めた
バーテンダーが・・・
前のめりに
なりながら・・・
甘ったるい声で
返答してくる・・・。
「あ~ごめんねぇ~
今日さぁ~
彼女・・・来てんだわ~
悪いけど・・・他の男・・・
あたってくれる~?」
そんなアホらしい台詞を
のうのうと
言ってのけた・・・
バーテンダーに対し・・・
一瞬にして・・・
イライラ度が
MAXに達したあたしは・・・
眉間にシワを
寄せながら・・・
容赦なく・・・
罵声を浴びせ掛ける・・・。
「ちょっとッ!
寝言は寝てから言ってよ!
そうじゃなくてッ・・・!
さっきまで・・・
あたしと一緒に居た・・・
金髪で色黒で
小動物みたいな可愛い子・・・
この辺りで
見掛けなかったッ?!」
すると・・・
何だよ・・・違うのかよ・・・
と言わんばかりの・・・
不貞腐れた表情を
浮かべたバーテンダーが・・・
あたしをギロリと見据え・・・
暫く・・・
考え込んだ後・・・
何か思い出したのか・・・
渋々ながらも・・・
重たい口を開いた・・・。