『幼なじみ』
第31章 遭遇
「フ~ッ・・・」
人混みに紛れて行く・・・
喜多見の背中を・・・
見送ったと同時に・・・
心身共に・・・
疲れがドッと出始め・・・
無意識に・・・
大きな溜め息を
ついてしまった
あたしに・・・
これでもかと・・・
蔑んだ視線を・・・
投げつけながら・・・
腕を豪快に組んだ
美波が・・・
今度は・・・
人を小馬鹿にした口調で
喋り出す・・・。
「喜多見さん・・・
良い人でしょ・・・?
そーいえば・・・
誰かさんさ~?
さっき・・・
喜多見さんの悪口・・・
言ってなかったっけ・・・?
勘違いも・・・
甚だしいんですけど・・・?
つーか・・・
悪いけど・・・
悠希の幼なじみなんて・・・
もう眼中ないし・・・
今・・・悠希と・・・
折り入って話すコト・・・
ぶっちゃけ・・・
無いんだよね・・・?
ねぇ!分かってんの・・・?!
悠希ッ・・・!
あたしさぁ・・・
見ての通り・・・
喜多見さん狙ってんのッ!
まぁ此処は・・・
喜多見さんの顔立てて・・・
一杯だけ・・・
酒付き合ってあげるけど・・・
とにかくさぁ・・・
空気読んで・・・
サッサと退散してよッ!」
みるみるうちに
顔を赤らめ・・・
語気を強めながら
捨て台詞を吐く
美波の表情は・・・
どことなく哀しげで・・・
本当は・・・
辛いのであろう・・・
あたしに当たる事で・・・
心のバランスを・・・
保とうとしている・・・
そんな憐れな
美波の挑発に・・・
迂闊にも・・・
乗っかってしまった
不甲斐無いあたしは・・・
段々と・・・
大きな後悔の渦に・・・
飲み込まれて行った・・・。