『幼なじみ』
第31章 遭遇
そして・・・暫く・・・
何のリアクションも
起こせないまま・・・
俯いているあたしに・・・
興奮冷めやらない
様子の美波が・・・
グイッと・・・
前のめりになり・・・
また何か・・・
言い掛けた矢先・・・
天からの救いとも取れる・・・
喜多見のハスキーな
艶のある声が・・・
遠くから・・・
タイミング良く・・・
あたしたちを包み込む・・・。
「オーイ・・・
美波ちゃん・・・
悠希ちゃん・・・!
フロアの真ん中で
お酒飲むと・・・
人にぶつかって
危ないから~
隅の方に移動しよ~!」
そんな喜多見の声を・・・
ボンヤリと・・・
耳にしながら・・・
あたしは・・・ふと・・・
気を使って・・・
話し掛けてくれる・・・
喜多見の温かな言動に・・・
スッカリ・・・
癒されている自分に・・・
気付き始める・・・。
そして・・・
先程の・・・
胡散臭かったハズの
喜多見の印象を・・・
頭から葬り去り・・・
いつの間にか・・・
この人は・・・
美波の言う通り
良い人なんだ・・・
と・・・
深く心に・・・
刻み込んでしまう・・・。
すると・・・
そんな・・・
警戒を緩めた・・・
あたしの気持ちを・・・
見透かすかのように・・・
余裕たっぷりの表情を
浮かべた喜多見が・・・
悠然と此方へ・・・
近付いて来ると・・・
更に優しい視線を・・・
あたしたちに
向けながら・・・
話し掛けて来た・・・。