『幼なじみ』
第32章 暗転
「あ・・・
あたしの地元ですか・・・?
えーっと・・・
あたし・・・
生まれも育ちも・・・
東京の・・・品川区で・・・
今も品川区に・・・
住んでるんだけど・・・
あたしの家・・・
品川の外れだし・・・
金持ちって訳じゃ
全然・・・無くって・・・
アッ・・・それと・・・
【地元が品川だったら・・・
誰々知ってるでしょ・・・?】
って・・・
色んな人から・・・
地元で有名な人の名前・・・
聞かれるんだけど・・・
実は・・・あたし・・・
中学まで
勉強オタクで・・・
ぶっちゃけ・・・
高校デビューだから・・・
地元の先輩とか・・・
カッコ良くて
有名な人・・・
ホントに・・・
誰も知らなくて・・・
だから・・・その・・・
地元の・・・
二個上の喜多見さんの
同級生も・・・
全く・・・名前とか・・・
分からないんですよ・・・
ってコトで・・・
あたしの・・・
ツマラナイ話は・・・
もう・・・この辺で・・・
終わらせてもらって・・・
良いですか・・・?」
あたしは・・・
これ以上・・・
喜多見に・・・
何も質問されたくない為・・・
拓弥の話にも・・・
二度と
触れられないよう・・・
必死になって
伏線を張り・・・
自分の話を
強制的に
終わらせてみる・・・。
が・・・しかし・・・
見事なまでに・・・
肝心な個人情報を・・・
ペラペラと・・・
喋ってしまった・・・
酔っ払いで・・・
ろくでなしのあたしは・・・
みるみる内に雲って行く
喜多見の表情に・・・
迂闊にも・・・
全く気付く事が
出来なかった・・・。