テキストサイズ

『幼なじみ』

第33章  救済



「ねぇ・・・
ここで会ったのも・・・
何かの縁だしさ・・・


折角だから・・・
友達になってよぉ・・・


とりあえず・・・
名前・・・


聞いても良い・・・?」


精神的に・・・
疲れ切っている
あたしに・・・


追い討ちを
掛けるような・・・
問題提起をしてくる・・・


その・・・
リカと名乗る女を・・・
横目にしながら・・・


やはり・・・
助けて貰わなければ
良かったと・・・


後悔の念が・・・
頭を駆け巡り始めるが・・・


そんな・・・
あたしの気持ちを・・・
知ってか知らずか・・・


透かさず・・・


あたしの・・・
眼球の奥を
覗き込むように・・・


更に・・・
顔を近付けて来た・・・
その女が・・・


今度は・・・


身に纏っている・・・
黒のセットアップの
ポケットに
スッと手を入れ・・・


肩を竦めながら・・・


おもむろに・・・
何か・・・
差し出して来る・・・。


「ごめ~ん・・・


今日は・・・
疲れてるよねぇ・・・?


だったらさぁ・・・
この名刺だけでも・・・


貰ってくれない・・・?


梨香ねぇ・・・
キャバ嬢やってんの・・・


だからって・・・
別に・・・


仕事の勧誘じゃ・・・
ないからね・・・?


ただ何となく・・・
放って
置けなくてさ・・・





いつでも・・・
連絡してよぉ・・・ね・・・?」


未だ・・・
疑心暗鬼では
あるものの・・・


間違いなく・・・
崩壊寸前だった
自分を・・・


窮地の底から
救い上げてくれた・・・
この女の・・・


名刺を・・・
受け取らない理由が・・・


全く以て・・・
見付からない
あたしは・・・


黒地に・・・
ピンク色の文字で・・・


キャバクラの
店の電話番号が
印刷された・・・


いわく付きの
その名刺を・・・


借りたハンカチと
引き換えに・・・


ゆっくりと・・・
自分の指に
握り締めた・・・。
















ストーリーメニュー

TOPTOPへ