『幼なじみ』
第34章 迷走
そして・・・
硝子張りの扉を開け・・・
VIPゾーンから・・・
脱出した拓弥は・・・
自分の顔を・・・
隠すように・・・
目立った行動を・・・
控えながら・・・
カップルで
ごった返す・・・
通路の隙間を・・・
小走りに・・・
すり抜けて行く・・・。
一階へ続く・・・
だだっ広い・・・
コンクリートの階段に・・・
アッと言う間に
到着し・・・
タタタタッと・・・
勢い良く駆け降りる
さ中・・・
ふと・・・
優しく・・・
微笑み掛けて来る・・・
悠希の姿が・・・
走馬灯のように・・・
頭の中を
駆け巡って行く・・・。
『悠希・・・
喜多見の一件が・・・
終わったら・・・
必ず・・・
VIPのバーカウンターに
迎えに行くから・・・
待っててくれよ・・・?
その時は・・・
全てを話す・・・
覚悟でいるし・・・
温かく・・・
迎えてくれよな・・・!
もし・・・俺に・・・
何かあっても・・・
悲しまないで・・・くれ・・・
こんな・・・俺で・・・
本当に・・・ごめ・・・ん・・・』
感傷に浸ってる
場合で無いのは・・・
百も承知なのだが・・・
今夜で・・・
悠希と・・・
今生の別れに
なるかもしれない・・・
そんな・・・
強烈な不安感に・・・
苛まれた拓弥は・・・
男泣きしたい
気分にまで・・・
追い込まれて行く・・・。
が・・・しかし・・・
このままでは・・・
本格的に・・・
マズイと悟り・・・
首を思い切り・・・
横に振りながら・・・
カッと・・・
目を見開くと・・・
相も変わらず・・・
女々しい自分に・・・
凄まじい程の・・・
喝を入れ始めた・・・。