『幼なじみ』
第34章 迷走
『アハハ・・・
アハ・・・アハ・・・
何か・・・
俺って・・・
スパイ・・・っぽくね・・・?
クククッ・・・
じゃ~
今から・・・俺は・・・
天下の・・・
ジェームズ・ボンド様
ってコトで・・・
ククッ・・・
なんか・・・
面白くなってきたな・・・
クククッ・・・』
とうとう・・・
正常な脳の回路の
ヒューズが・・・
火花を散らし・・・
弾け飛んで
しまったのだろう・・・
任務を遂行する・・・
架空のスパイに・・・
為りきってしまった
拓弥は・・・
背中を壁に・・・
ピッタリと
張り付け・・・
ギラギラした視線で・・・
周囲を
監視しながら・・・
抜き足差し足・・・
薄暗く・・・
グレーがかった
通路を・・・
速やかに・・・
前へ進んで行く・・・。
誰にも
見つからないまま・・・
非常用の・・・
真っ黒な螺旋階段の
前に到着し・・・
立入禁止と・・・
真っ赤に書かれた
文字に・・・
気を取られつつも・・・
階段の一段目を・・・
しっかりと・・・
踏みつける・・・。
『クククッ・・・
この階段・・・
昇れば・・・
喜多見と・・・
ご対面だな・・・?
さ~て・・・
どう・・・料理・・・
してやろーか・・・
クククッ・・・』
螺旋階段を・・・
下からを見上げた
拓弥は・・・
その高さに・・・
全く怖じ気づく
コトもなく・・・
屋上に向かって・・・
些か・・・
気でも
フレたかのように・・・
ニヤリと微笑むと・・・
一心不乱に・・・
駆け昇って行った・・・。