『幼なじみ』
第36章 冷徹
すると・・・
そんな・・・
トチ狂った様子の・・・
少年サリーを・・・
全く・・・
微動だにしないまま・・・
とてつもなく・・・
冷ややかな表情で・・・
見据えていた・・・
喜多見の・・・
何とも毒々しい・・・
冷淡な声が・・・
薄暗い夜空に
忽然と響き渡る・・・。
「おーい・・・
サリーちゃーん・・・
尻餅なんか・・・
着いてたって・・・
何にも・・・
始まらないよー?
つーかさー・・・
この落とし前・・・
どーすんのよ・・・?
チッ・・・
面倒くせーなァ・・・
サリー・・・?
お前さー・・・
偽物の魔法使い
なんだし・・・
ここ・・・屋上だよー?
逃げ場ないよー?」
まさかの土壇場で・・・
不甲斐ない
尻餅を着き・・・
追い詰められた・・・
まさに・・・
四面楚歌の自分に・・・
更に・・・
容赦ない台詞を
浴びせ掛ける・・・
悪魔の化身のような・・・
喜多見の声を・・・
耳にしたサリーは・・・
もうこのままでは・・・
確実に・・・
殺られてしまうと・・・
完全に・・・
悟ったのであろう・・・
コンクリートの
固い地面で・・・
手足をバタつかせ・・・
仰け反りながら・・・
近くに転がっていた
角材を
掴んだと同時に・・・
一気に立ち上がる・・・。
そして・・・
フラつきながらも
角材を構え・・・
一瞬・・・
鋭い眼光を・・・
此方に
投げ掛けたものの・・・
何を血迷ったのか・・・
突然・・・
クルッと・・・
全員に背中を向けた
少年サリーは・・・
確実に・・・
行き止まりである・・・
屋上をグルッと囲う・・・
フェンスに向かって・・・
いきなり・・・
猛ダッシュで・・・
走り出してしまった・・・。