『幼なじみ』
第36章 冷徹
『さぁて・・・
どうすんのかね・・・?
魔法使いの・・・
サリーちゃん・・・?
クククッ・・・』
逃げ場のない・・・
箱のような・・・
四角四面のこの屋上で・・・
逃亡劇を・・・
繰り広げる・・・
何とも滑稽な
サリーの背中を・・・
見つめながら・・・
拓弥が・・・
これからの・・・
行く末を・・・
面白がるように・・・
不気味に・・・
薄気味悪く・・・
ほくそ笑むさ中・・・
薄暗い屋上の
突き当たりまで・・・
アッと言う間に
辿り着いた
少年サリーは・・・
目の前を
堂々と遮る・・・
腰ほどの高さの・・・
くすんだ銀色に
多少の光沢がかった・・・
ステンレス製の
格子状のフェンスを・・・
片手でガシッと・・・
握りしめたかと思うと・・・
なんと・・・
勢いもそのままに・・・
華麗に宙を
舞うかの如く・・・
ブワッと一気に
跳び越えてしまう・・・。
そんな・・・
余りにも・・・
突拍子過ぎる・・・
少年サリーの
読めない行動を・・・
口をあんぐりと
開けたまま・・・
傍観するしか
出来ない・・・
拓弥たちを尻目に・・・
一瞬だけ・・・
パッと振り返った
サリーが・・・
時間が・・・
止まってしまったような
此方の景色に・・・
安心したのであろう・・・
透かさず・・・
前を見据え・・・
今度は・・・
足を滑らせたら
確実に
死を迎えて
しまいそうな・・・
ビルの屋上の
先端の先端まで・・・
ジリジリと
ゆっくり・・・
歩み寄ったかと思うと・・・
サラサラとそよぐ・・・
微風に吹かれながら・・・
なんと無謀にも・・・
気持ち良さそうに・・・
その場に・・・
立ち竦んだ・・・。