『幼なじみ』
第37章 騙欺(へんぎ)
そんな・・・
悲嘆に暮れる
拓弥の姿を・・・
目の当たりに
しながらも・・・
同情のドの字すら
見せない喜多見は・・・
冷ややかな表情で
堂々と腕を組み・・・
手下どもと・・・
顔を見合わせながら・・・
蔑んだ態度で
けたたましく
笑い出す・・・。
「クッ・・・
アハハハハ~・・・
昔っから・・・
面白い奴だと
思ってたけどさァ・・・
拓弥~?どした・・・?
お涙頂戴の・・・
つまんねー茶番劇
やってんのは・・・
お前の方じゃん・・・?
俺ん中でさァ・・・
悪いけど・・・
そーゆーの・・・
全然・・・
流行ってないのよ・・・
ククッ・・・
つーかさ・・・
【俺・・・スゲー
頑張ったんすよッ!】
って・・・
熱く語ってるけどさ・・・
俺に・・・
そんなに・・・
認めて欲しい訳・・・?
まぁ・・・
仕方ねーかァ・・・
そんなに・・・
泣きつくなら・・・
地元の先輩として・・・
話ぐらいは
聞いてやっても
良いけどさァ・・・
この血気盛んな・・・
俺の後輩たちが・・・
我慢出来る程度に・・・
手短に・・・
話終わらせてくれよ・・・?
んじゃ・・・どうぞ~!」
喜多見を想い・・・
男泣きまで見せた
拓弥の・・・
目一杯・・・
情に溢れた・・・
熱い気持ちを・・・
容赦なく・・・
はぐらかし・・・
無惨にも・・・
人前で踏み潰した・・・
薄情極まりない
冷酷な喜多見は・・・
怒りと悲しみが
入り交じったような・・・
混沌たる表情で・・・
立ち竦んだままの
拓弥が・・・
更には・・・
どんな暑苦しい講釈を
並べ立てて来るかと・・・
あたかも・・・
心待にするかのように・・・
余裕綽々の・・・
軽薄な笑顔を・・・
浮かべると・・・
完全に・・・
開き直ったのか・・・
意気揚々と・・・
ふんぞり返った・・・。