『幼なじみ』
第37章 騙欺(へんぎ)
『き・・・喜多見ッ・・・
な・・・舐めやがって・・・!
クソッ・・・!
アァ・・・そうか・・・
そうだよな・・・
俺に・・・
あんな・・・
意気がったガキ・・・
送り付けて
来たってコトは・・・
俺は・・・やっぱり・・・
いつ死んでも
構わない・・・
どうでもいい・・・
捨て駒なんだよな・・・?
フッ・・・
俺って・・・馬鹿か・・・?
今・・・
目の前に居る・・・
狂った喜多見は・・・
あの優しかった
【喜多見先輩】じゃ・・・
ねーんだよ・・・!
いい加減・・・
目ェ・・・覚ませッ・・・!』
忌々しい・・・
喜多見の態度に・・・
当然の如く
涙も引っ込み・・・
新たな怒りに
翻弄されるさ中・・・
そんな・・・
別人と化した喜多見に
先ほど・・・
まんまと情けを掛け・・・
昔に戻ってくれと
哀願するかのような・・・
切実なる胸の内を
晒け出してしまった・・・
とてつもなく・・・
お門違いな自分が・・・
余りにも滑稽で・・・
やりきれない・・・
後悔の念に・・・
押し潰されそうに
なるが・・・
今この局面で・・・
自分を責め立てても・・・
喜多見の思う壺だと・・・
咄嗟に・・・
頭を切り替えた拓弥は・・・
一先ず・・・
冷静になり・・・
脳ミソを
フル回転させると・・・
VIPルームで・・・
春斗の兄貴と交わした・・・
喜多見主催の・・・
パーティーの詳細を・・・
事前に聞き出す・・・
大切な約束を・・・
漸く思い出し・・・
迷うことなく・・・
喜多見を
取り込む作戦に
打って出た・・・。