
『幼なじみ』
第37章 騙欺(へんぎ)
すると・・・
紛れもなく・・・
勢いづいた・・・
拓弥の殺気を・・・
肌で感じ取ったのか・・・
面倒臭いのは・・・
ゴメンだとばかりに・・・
フッと鼻で・・・
ほくそ笑んだ喜多見が・・・
偉そうに
組んでいた自分の腕を・・・
そっと外し・・・
勢い良く・・・
片手を挙げ・・・
拓弥に向かって
手招きをし始める・・・。
「なァ・・・拓弥・・・?
そんな遠くで・・・
意気ってないでさ・・・
ブツの詳細・・・
聞きたいんなら・・・
こっちに来いよ・・・?」
突然の優しげな・・・
喜多見の台詞に・・・
まんまと・・・
拍子抜けし・・・
出鼻を挫かれたものの・・・
本当にすんなりと・・・
薬物の使い道を・・・
話してくれそうな・・・
目の前の・・・
喜多見の表情は・・・
何とも穏やかで・・・
少なからずも・・・
安堵した拓弥は・・・
疑いの眼差しを
向けつつも・・・
抜き足差し足・・・
ゆっくりと・・・
一歩ずつ前へ・・・
進んで行く・・・。
『ひ・・・ひとまず・・・
上手く・・・いった・・・
みたいだな・・・
た・・・頼む・・・
このまま・・・
穏便に・・・終わってくれ・・・』
良い緊張感を
保ちながら・・・
ジワジワと・・・
喜多見との距離を
縮めるうち・・・
何気なく・・・
手下どもと会話する・・・
優しくも懐かしい・・・
中学時代と
何ら変わらない
温厚な喜多見の声を・・・
ふと・・・
耳にしてしまい・・・
ハッとした拓弥は・・・
何を思ったのか・・・
突然・・・
パタリと足を止めた・・・。
