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『幼なじみ』

第40章  悪夢



そんな・・・
弾丸の勢いの如く・・・
去って行った・・・


二人の背中を
呆然と見送るさ中・・・


取り残された
孤独感からか・・・


急激に・・・
不安な気持ちに駆られ・・・


一気に・・・
目の前の現実に
引き戻されてしまった
あたしは・・・


歩道に溢れ返る・・・
野次馬に釣られ・・・


既に停車している・・・
忙しない
救急車付近に・・・


恐る恐る・・・
視線を投げ掛けてみる・・・。


すると・・・


野次馬を
制止している
数人のクラブスタッフの
後方で・・・


拓弥かもしれない
その男が・・・


今まさに・・・
ストレッチャーに
乗せられ・・・


布のような物で
隠された身体を・・・


しっかりと・・・
ベルトで
固定されながら・・・


救急車の中へと
運ばれて行く姿が・・・


乾き切った・・・
あたしの目の中に・・・


痛いくらいに
飛び込んで来た・・・。


『ど・・・どうしよう・・・!』


パニック状態に・・・
陥りながらも・・・


あの血まみれの男が
本当に拓弥なのか・・・


居ても立っても
いられなくなった
あたしは・・・


とにかく・・・
打開策を見つけようと・・・


無謀にも・・・


救急車めがけ・・・
突進を試みる・・・。


そんな折り・・・


救急隊員に・・・
状況を
説明しているのだろう・・・


流暢な日本語を話す・・・


先ほど・・・
その男を背負っていた
黒人のセキュリティと・・・


偶然にも視線が重なり・・・


このチャンスを
逃すまいと・・・
躍起になったあたしは・・・


サッと片手を上げ・・・
その勢いのまま・・・
グイグイ
前進して行くと・・・


此方を
気に掛けてくれた様子の
そのセキュリティに
向かって・・・


一心不乱に・・・
声を掛けた・・・。
















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