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『幼なじみ』

第40章  悪夢



「あの・・・
スイマセンッ・・・!


その怪我してる人・・・


あたしの・・・
知り合いかも
しれないの・・・!


お願い・・・!


そっちに行かせてッ!!」


発狂に近い
あたしの声に・・・
目を丸くし・・・


一瞬・・・
怪訝な表情を
浮かべるも・・・


すぐさま状況を・・・
理解してくれたのか・・・


咄嗟に前のめりになり・・・


必死に挙げている
あたしの片手を・・・
パッと掴むと同時に・・・


鬱蒼とする
野次馬とスタッフの
間から・・・


グイッと・・・
引き上げてくれた
セキュリティに対し・・・


血相を抱えたまま・・・


礼を言うのも
忘れてしまった
あたしは・・・


掴んでくれた手を
サッと・・・
振りほどきながら・・・


ここぞとばかりに・・・
畳み掛ける・・・。


「ねぇ・・・!


こ・・・この人・・・


拓弥って名前じゃない・・・?!




えっと・・・


地元は・・・品川で・・・


色黒で・・・筋肉質で・・・


それから・・・えっと・・・」


拓弥の姿を・・・
必死に思い浮かべ・・・
伝えようとしたものの・・・


まさに今日・・・


三年ぶりに・・・
偶然拓弥に出会い・・・


近況も何も知らない
このあたしが・・・


今の拓弥の人物像を・・・
上手く説明出来る
ハズも無く・・・


先ほどの・・・
勢いも虚しく・・・
撃沈したあたしは・・・


その場でガックリと
肩を落としてしまう・・・。


すると・・・
いきなり・・・


落ち込んでる
場合じゃねーだろ!
とばかりに・・・


あたしの両肩を
ブオンと揺らした・・・
そのセキュリティが・・・


サッと手を伸ばし・・・


地面に置かれている・・・
ギュッと固く
口の結ばれた・・・


ビニール製の・・・
黒い大きなゴミ袋を
持ち上げ・・・


目の前に・・・
差し出して来たかと
思うと・・・


息を飲む・・・
あたしに向かって・・・


突然慌ただしく・・・
口を開いた・・・。
















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