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『幼なじみ』

第41章  慟哭(どうこく)



そして・・・


だいぶ・・・
老朽化が進んでいる・・・
コンクリート製の
六階建ての建物に・・・


吸い込まれるように
近づいて行き・・・


グレーがかった
白い壁に・・・
貼り付けられた・・・


【芝浦中央病院・救急外来】


という・・・
大きな赤色の文字を・・・
発見したあたしは・・・


ハヤる気持ちを・・・
押さえつつ・・・


しっかりとした
足取りで・・・
出入口まで突き進み・・・


自動ドアをサッと抜け・・・


ツカツカと・・・
病院の中へと
入って行く・・・。


すると・・・


目まぐるしく・・・
人が動き回る
外来受付の前に・・・


固そうな・・・
ベンチ椅子が
整然と並べられており・・・


おもむろに・・・
近づいて行った
あたしが・・・


疲れた体を・・・
投げうつように・・・
ドサッと腰掛けた矢先・・・


顔面を・・・
強張らせながら・・・
隣に座った
セキュリティが・・・


声を殺しつつ・・・
話し掛けて来る・・・。


「なぁ・・・アンタ・・・


タクヤの彼女なのか・・・?


つーか・・・
あんな潰れた顔じゃ・・・


タクヤかどうかも・・・
分かんなかったよな・・・




とにかくさ・・・


俺・・・付いててやるから・・・


その私物・・・


早く確認してみなよ・・・」


彼女という
二文字が・・・
心に引っ掛かり
ながらも・・・


優しく・・・
気遣ってくれる
セキュリティの言葉に・・・


一気に背中を・・・
押されたあたしは・・・


コクリと頷くと同時に・・・


膝に抱えていた・・・
黒いビニール袋の
結び目を・・・
グイッとほどくと・・・


徐々に隙間を広げ・・・


恐る恐る・・・
中を覗いてみる・・・。


すると・・・
そこには・・・


血痕の付いた・・・
衣類らしきモノが・・・


無造作に・・・
放りこまれており・・・


何とも生々しい
鉄の錆びた臭いが・・・


モワーッと・・・
沸き上がると同時に・・・


怯むあたしの鼻を・・・


執拗以上に・・・
激しく突いて来た・・・。















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