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『幼なじみ』

第42章  難局



「良かったですね・・・


タクヤさん・・・
無事意識を
取り戻しましたよ・・・!


さぁ・・・


此方へどうぞ・・・!」


看護師の・・・
明るい笑顔に釣られ・・・


穏やかな表情を・・・
浮かべたあたしは・・・


誘導されるがまま・・・


ひっそりとした
冷たい廊下を・・・
いそいそと歩いて行く・・・。


そして・・・


【603号室】と・・・
印字された札が・・・


壁に張り付いた
病室の前まで・・・
辿り着いた矢先・・・


パッと此方に・・・
向き直った看護師が・・・


あたしの目を・・・
優しく見つめると・・・


声をひそめながら・・・
話し掛けて来た・・・。


「いいですか・・・?


タクヤさんは今・・・


此方の病室に・・・
いらっしゃいます・・・


ただ・・・


鎮痛剤の点滴が
効いていて・・・
熟睡してるので・・・


今は・・・
そっとしてあげて・・・
下さいね・・・?




それと・・・


ご存知だとは・・・
思うんだけど・・・


だいぶ・・・その・・・


見た目が・・・
変わってしまって
いるから・・・


お気持ちを
強く持って・・・


ご面会して・・・ね・・・?




大丈夫・・・?






じゃぁ・・・もうすぐ・・・


担当の医師が・・・
此方へ来ますから・・・


詳しくは・・・


その先生に・・・
お聞きになって下さい・・・」


とにもかくにも・・・


拓弥の顔を・・・
一目見たくて
仕方のないあたしは・・・


看護師の話が・・・
終わるや否や・・・
早々にコクリと・・・
頷いて見せる・・・。


すると・・・


では早速・・・
とばかりに・・・


603号室の・・・
ドアノブを
握り絞めた看護師が・・・


グイッと扉を
押し開けたと同時に・・・


室内に充満している
消毒液の匂いが
フワッと舞い上がり・・・


その強烈な香りに・・・
誘(いざな)われた
あたしは・・・


どんな状態の
拓弥でも・・・
受け止められるよう・・・


心をスッと・・・
無(む)にすると・・・


拓弥の待つ
部屋の中へ・・・
颯爽と入って行った・・・。















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