『幼なじみ』
第42章 難局
そして・・・
病室に・・・
足を踏み入れた矢先・・・
正面の大きな窓から・・・
キラキラと差し込む・・・
眩しい程の朝日に・・・
目を奪われながらも・・・
金色に乱反射する・・・
中央に吊るされた
純白のカーテンの下から・・・
パイプベッドの足を
見つけたあたしは・・・
高鳴る鼓動
そのままに・・・
そっと近づいて行く・・・。
間もなくして・・・
前を歩いていた
看護師が手を伸ばし・・・
シャーッと・・・
目の前の真っ白な
カーテンを開けた途端・・・
頭部から・・・
紫色に腫れ上がった
顔面にかけて・・・
白い包帯で・・・
グルグル巻きにされた・・・
拓弥の・・・
余りの変貌を遂げた
痛々しい姿が・・・
忽然と・・・
あたしの目に映り込み・・・
頭では・・・
理解していた
つもりでも・・・
一瞬にして・・・
深い谷底へと・・・
突き落とされた感覚に
陥ったあたしは・・・
もがくように・・・
胸に抱えていた
黒いビニール袋を・・・
床に投げつけると・・・
看護師の言い付けも
スッカリ忘れ・・・
ベッドに・・・
ダイブするように・・・
布団の上から・・・
拓弥の体にしがみついた・・・。
「た・・・拓弥――ッ・・・
な・・・なんで・・・?
こんなひどい目に
遭わされなきゃ・・・
ならないの・・・?
ねぇって・・・ば・・・
拓弥・・・お願い・・・
何とか・・・言って・・・よ・・・」
自分でも・・・
どうにも出来ない
怒りと悲しみを・・・
口のきけない
弱りきった拓弥に
ぶつけるうち・・・
完全に・・・
止まっていたハズの
熱い涙が・・・
またしても・・・
頬を濡らして行く・・・。
すると・・・突然・・・
ベッドに踞ったままの
あたしを・・・
看護師が・・・
後ろから
抱き上げるように・・・
サッと・・・
拓弥の体から・・・
引き離したかと思うと・・・
布団を掴んで離さない
あたしの耳元で・・・
諭すように・・・
そっと口を開いた・・・。