
『幼なじみ』
第43章 震撼
「オ・・・オイ・・・!
だ・・・誰か・・・
居んのかよ・・・?!」
マズイ・・・!と
心の中で焦りながらも・・・
セキュリティの動向が
気になって仕方のない
あたしは・・・
階段の影で・・・
身を潜めながら・・・
片目だけを覗かせ・・・
様子をうかがってみる・・・。
すると・・・
何ともタイミングの
悪い事に・・・
コロコロと・・・
階段の踊り場を
転がって行く・・・
コーヒーの空き缶が・・・
セキュリティの前で・・・
その動きを
止めてしまい・・・
怪訝な表情を浮かべ・・・
その空き缶を
拾い上げた
セキュリティが・・・
あたしの為に買った
缶コーヒーだと・・・
気づくのに・・・
残念ながら・・・
そう時間は・・・
掛からなかった・・・。
「ひ・・・ひょっとして・・・
そこに居るの・・・
た・・・拓弥の・・・
彼女なのか・・・?」
まさかの・・・
自分の正体が
バレてしまい・・・
いきなり・・・
絶望の淵に
叩きつけられた
あたしが・・・
ドクリドクリと・・・
張り裂けそうになる
心臓に手を当て・・・
全身を強張らせる矢先・・・
自分の質問に
何も返事がない・・・
この状況を・・・
やはり・・・
不審に思ったのだろう・・・
空き缶をキツく・・・
握り締めたまま・・・
上を見上げた
セキュリティが・・・
なんと・・・
あり得ないことに・・・
あたしの居る方へ・・・
ゆっくり階段を・・・
昇って来て
しまうではないか・・・!
『ど・・・どうしよう・・・!!』
咄嗟に・・・
顔を引っ込め・・・
逃げようにも・・・
余りの恐怖に・・・
腰が立たず・・・
完全に・・・
まな板の上の
鯉になったあたしが・・・
プルプルと・・・
震えながら・・・
頭をもたげ・・・
必死になって
小さく体を丸めた・・・
その瞬間・・・
聞き覚えのある・・・
女性の声が・・・
下の階から・・・
忽然と響き渡った・・・。
