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『幼なじみ』

第7章  空虚



「ところでお前・・・


ここんとこ・・・
成績悪くないか・・・?」


椅子に腰掛けている
藤野が・・・


机の上に・・・
無造作に置かれた
ノートを・・・


パラパラと
めくりながら・・・
話し始める・・・。


株式会社
ブルーカンパニーは・・・


キャバクラを
健全に運営する・・・


風営法で認められた
きちんとした
会社なのだが・・・


拓弥の仕事は・・・
渋谷センター街などで・・・


歩いている
綺麗目な女に声を掛け・・・


甘い言葉で
その気にさせて
キャバクラで働かせる・・・


いわゆる【キャッチ】
という裏業務だった・・・。


無論・・・
表向きは【営業部】
という肩書きで・・・


聞こえも良いが・・・


かなりのノルマが有り・・・


自分がスカウトして
入店させた女を・・・


キャバクラで
金になるまで
育て上げる・・・


なかなか
アコギな商売なのだ・・・。


流石の・・・
口八丁手八丁な
拓弥でも・・・


なかなか
結果を出せないでいる・・・。


「ですよね~?


つか・・・そう簡単に・・・


上手くは・・・
いかないッすよ~」


無邪気な笑顔を作り・・・


藤野の問い掛けに
答えるも・・・


『そろそろ・・・
潮時かもな・・・』


と・・・
何かを決意したかの
ような表情を・・・
浮かべた拓弥は・・・


事務所の窓から・・・


渋谷の街を・・・
静かに見下ろしていた・・・。

















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