『幼なじみ』
第12章 陶酔
手に持っている
透明の
ビニールのパケに入った
エクスタシーを・・・
拓弥は暫しの間・・・
眺めている・・・。
生まれてこのかた・・・
マリファナやチョコ
コカイン、アヘン
ヘロイン等は・・・
全て自然界の産物だと
言い訳して・・・
ハマらない程度に
ヤってきたが・・・
変な所で
真面目なのか・・・
人が作った
合成麻薬のエクスタシーと・・・
幻覚剤のエル・・・
それに・・・
覚醒剤だけは・・・
いくら周りの人間が
ヤっていても・・・
絶対に手を
出さなかった・・・。
しかし・・・
疲労困憊の
今の拓弥には・・・
自分を止める
制御装置も稼働されず・・・
フーンッと鼻から
大きく息を吐き出し・・・
真っ青で
不気味なまでに
輝いている丸い錠剤を・・・
パケからおもむろに
一粒取り出してみる・・・。
そして・・・急に・・・
昔・・・
教科書で見た・・・
どこかの登山家の・・・
【そこに山があるから
登るのさ・・・】
と・・・
言ったセリフを
思い出し・・・
「此処に【玉】があるから
ヤるんだよ・・・な・・・。」
と改めて・・・
自分に言い聞かせると・・・
我ながら
面白い大義名分を
考えたな・・・
とニンマリしながら・・・
真っ青な【玉】を一粒・・・
舌の上に・・・
そっと乗せた・・・。