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『幼なじみ』

第12章  陶酔



そして・・・


異様なまでの・・・
嫌な余韻が残る
口の中に・・・


耐えられなくなった
拓弥は・・・


即座に・・・
リビングの
テーブルの上にある・・・


ミント味のガムを
五・六個・・・
頬張ってみる・・・。


が・・・しかし・・・


口の中が・・・
死ぬほどに
糞不味い以外・・・


未だ自分に・・・
何の変化も
感じられない拓弥は・・・


「・・・んだよ・・・?
全然効かねーし・・・」


と・・・ボヤき・・・


クチャクチャと
ガムを噛みながら・・・


肩を落とすと・・・


一先ず・・・
自分の部屋へ戻り・・・
ベッドに横たわった・・・。


そして・・・


つまんねーな・・・
とばかりに・・・
TVのスイッチを
入れてみると・・・


海外アーティストを
ランキングしながら・・・


PVを延々流す
お気に入りの番組が
放送されており・・・


聞き慣れた黒人女性の
歌声と・・・
スネアの重低音が・・・


拓弥の耳を
心地よく刺激し始め・・・


暫く・・・
気持ちよく
聴き入っていた・・・


その瞬間・・・


いきなり・・・
ウワーーーーン・・・と
ハウリングのような・・・
エコー音が・・・


鼓膜を駆け巡り・・・


今まで普通に・・・
聴こえていたはずの
音楽が・・・


山びこのように
部屋に響き渡ったかと
思うと・・・


壁にぶつかっては
勢い良く
跳ね返ってくる・・・。


そんな・・・
ライブ会場に
居るような・・・


TVの中に・・・
突然・・・
入ってしまったような・・・


不思議な錯覚を
起こし始めた拓弥は・・・


「これがエクスタシーか・・・」


と・・・呟きながら・・・
慌てて・・・
ガムを吐き出すと・・・


すぐさま・・・
リモコンを握り絞め・・・
TVを消した・・・。
















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