『幼なじみ』
第13章 共有
幸せな気分に
包まれた拓弥は・・・
豪華なリビングを
出ると・・・
ルイ君に
手招きされるまま
後を付いていく・・・。
真っ白な壁に
モネの絵画が等間隔で
飾られ・・・
沢山の部屋が
並んでいる・・・
ホテルのような
廊下を進んで行き・・・
ルイ君が・・・
一番奥の部屋の鍵を
カチャッと開ける・・・。
「此処ね・・・
お母さんの部屋
だったんだけど・・・
普段
誰も使ってないから・・・
拓弥が自由に
使ってくれて良いよ~」
ニコニコしながら
鍵を手渡してきた
ルイ君に・・・
笑顔で
鍵を受け取った拓弥は・・・
ふと・・・
こんな恵まれた
環境の中で・・・
善人のルイ君が
何故この風貌に
なってしまったのか・・・
少し
分かった気がした・・・。
優しかった母親が
他界し・・・
その淋しさを
紛らわす為
薬物に手を出し・・・
自分のガラスの心が
壊れないよう・・・
バランスを摂る為
自分の体に墨を入れ・・・
散々・・・
傷付けてきたのだろう・・・。
『ルイの事・・・よろしくね』
ふと・・・
手渡された鍵を見ると・・・
会った事がないハズの
ルイ君の母親の
面影と重なり・・・
ルイを守って欲しいと
自分に向かって
言っているような・・・
拓弥は・・・
そんな気がして
ならなかった・・・。