『幼なじみ』
第14章 予兆
『拓弥・・・
ごめんね・・・
ごめんね・・・』
暫くして・・・
一台の
タクシーが現れ・・・
佇んでいる拓弥を・・・
車の中から
見付けたのであろう
泣きそうな表情を
浮かべた・・・
ルイ君の・・・
口を・・・
パクパクさせながら
謝る姿が・・・
漸く・・・
拓弥の視界に
入って来る・・・。
そんな・・・
憎めないルイ君は・・・
運転手に・・・
サッと金を払うと・・・
後部座席から・・・
急いで飛び降り・・・
タタタタッと・・・
慌てて此方に・・・
駆け寄って来る・・・。
待ちわび・・・
苛々していた
拓弥だったが・・・
ルイ君の顔を見て
一先ず安心し・・・
息を切らしながら
興奮している様子の
ルイ君を・・・
落ち着かせる為・・・
ひたすらに・・・
優しく声を掛ける・・・。
「ルイ君・・・
心配・・・
したっすよ・・・?」
すると・・・
漸く安堵の表情を
浮かべたルイ君は・・・
ニコッと微笑み・・・
大事そうに
胸の辺りで
抱えていた・・・
A4サイズ程の
薄手の手提げ紙袋を・・・
「はい・・・!」と・・・
力強く・・・
拓弥に手渡す・・・。
やっと・・・
待ちに待った・・・
念願の物(ブツ)が
入った紙袋を・・・
しっかり
受け取った拓弥は・・・
ド緊張のセイか・・・
冷や汗が吹き出し・・・
「ゴクリ」と
生唾を飲みながら・・・
ホッチキスで
何十ヵ所も
頑丈に留めてある・・・
手提げ袋の
上部を・・・
指でゆっくり
確認すると・・・
バチバチバチッと
力ずくで・・・
一気に開封した・・・。