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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 そうだ、そうに違いない。それにしても、間近でお逢いする大妃さまがここまで冷え切った瞳をなさる方だとは、これまで思いだにしなかった。下々の女官にまでお優しい言葉をかけて下さる情け深き方だと聞き、信じていたのだ。
 それとも、菩薩だと称えられるお方でも、このような厳しい眼を―いや、厳しいというのではない、まるで邪魔者を見るような疎ましげな眼をなさるものなのか。

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