テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第2章 揺れる、心

 身分が、立場が人を作るのではない。逆に、その人がどう考え行動し、生きるかで、その人という人間を作るのだ。官職や世間的肩書きはあくまでも上辺だけのものであって、いわば身を飾る飾りのようなもの、その人の真価はむしろ心の持ち方、心映えにある―、七歳から後宮に入って様々な人を見てきた百花は、いつしかそんな風に考えるようになっていた。
 むろん、そのようなことを口外できるはずもなく、自分一人の胸の内にしまっておいているだけだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ