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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 それでも、辛いとは思わなかったのは、やはり自分もいつかは管理職になりたいという夢があったからだ。確かに厳しく仕込まれたことは、結果として百花のためにはなった。叱られたくなくて、鞭打たれたくなくて一生懸命学んだ甲斐あって、読み書きも結構早く憶えたし、漢詩も作れるようになった。
 それでも、まだ幼い間は実家や母が恋しくて、一人、布団を被って泣いたことも度々あった。後宮に入ったことを後悔したことはないけれど、家庭や家族の温もりを懐かしいと思ったことはしょっちゅうだったのだ。

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