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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 権力だけでは、けして手に入れられないものがあるのだと、あの男が知る日が必ず来るだろう。―それは哀しい決意であった。
 けれど。きつく閉じた瞼の裏に、束の間、あの男の顔が浮かんだのは何故なのか。
―予は―、あまり他人に気を遣うということに慣れておらぬ。予が取った言動で、そなたの心を傷つけたというのなら、このとおり謝る。
 あのときの王の表情は真摯だった。ただ女の気を引くためだけに口にしているとは思えず、真心が感じられる言葉であった。

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