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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 そんな中で、日は流れ、やがて百花が王の寝所に召される夜が来た。
 その夜は満開に咲き誇っていた桜もあらかた終わりに近づいた頃であった。風の強い日で、夕刻になってからは更に風は強くなった。
 戸外を狂ったように吹き抜ける風の唸りがまるで獣の怖ろしい咆哮のように聞こえてくる。磨き抜かれた長い廊下を崔尚宮や大勢の女官たちに囲まれて辿る途中、外に面した戸がカタカタと音を立てて揺れた。
 百花は王の寝所に赴く前、薔薇の花びらを浮かべた湯に入り身を浄め、女官たちによって白い膚に丹念に香油を塗り込まれている。

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