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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

「一つだけ、お願いがございます」
 真っすぐに見つめてひと息に言うと、王が意思の強そうな濃い眉をややつり上げた。
「願いとな」
 わずかな沈黙が落ちる。
「申してみよ」
 先刻まで機嫌の良かった王の顔はまた仏頂面に戻っていた。
「明日以降も、私は殿下の側室にはなりませぬ。そのことをお許し頂きたいのでこざいます」
 その瞬間、王の精悍な男らしい顔が強ばった。
「そなたはやはり予を受け容れられぬと?」
「いいえ」

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