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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

「この日を待ちかねたぞ、百花」
 王は百花がこのまま素直に抱かれると信じて疑っていないようだ。
 夜着の前結びになった紐が解かれようとするまさにその寸前、百花がそっと小さな手で王の骨太の手のひらを押さえる。
「お待ち下さいませ」
「何だ」
 王の声の調子が微妙に変わる。導宗は別に短気だという評判はないが、さりとて、寝所に召した女に焦らされるのに慣れているとは思えない。

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