夢で逢えたなら~後宮秘談~
第3章 結ばれる
しばらく王からの応(いら)えはなかった。それはそうだろう。王の眼に止まり、ひと度伽を務めても、王の気紛れで終われば、後は打ち捨てられるだけだ。寵愛を失った女の末路がいかほど残酷で憐れなものかは、幼いときから後宮にいる百花であれば厭というほど知り尽くしているはずだ。
それなのに、寵愛は受けても側室としての位階は要らぬと主張するのは、どう考えても不自然すぎる。
今度の沈黙は前回より少し長かった。それは王が思案する時間を示しているようでもあった。
「良かろう。そなたの好きにするが良い」
王はどこか投げやりに言うと、性急な仕種で百花の夜着の紐を解き始めた。
それなのに、寵愛は受けても側室としての位階は要らぬと主張するのは、どう考えても不自然すぎる。
今度の沈黙は前回より少し長かった。それは王が思案する時間を示しているようでもあった。
「良かろう。そなたの好きにするが良い」
王はどこか投げやりに言うと、性急な仕種で百花の夜着の紐を解き始めた。