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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 実は、この時、百花の思惑を見抜いた者は一人としていなかった。
 そのことは、意外な形として国王導宗の知るところとなったのである。
 百花が特別尚宮の呼称を許された翌日、王は内官から注進を受けた。
「殿下、監察尚宮が参っております」
 国王の居住である大殿には、常に大殿内官と呼ばれる専任の内官が詰め、近侍している。
「通せ)」
 領議政から上がってきた書類に眼を通していた王は視線は動かさず、無造作に応える。
「はい(イエー)」
 まだ若い内官は畏まって頷くと、扉を開け、すぐ外に控えている女官や尚宮に頷いて見せる。お目通りの許しが出たという合図である。

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