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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 これを経て、二人の女官が外側から同時に両開きの扉を開ける。国王の執務室の外―廊下にもまた常に尚宮や女官、内官、数人が待機している。
 監察尚宮は数人いる尚宮たちの中では、比較的穏やかな人柄で、人望もある。下の者たちにも優しく細やかな心遣いを示すので、幼い見習い女官の少女たちからも祖母のように慕われていた。
 この女性こそ、導宗を育てた乳母―保母尚宮であった。
「乳母(ユモ)、どうかしたのか?」
 王が穏やかに問う。

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