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　あの時、百花は言ったはずだ。側室としての位階が要らないのなら、特別尚宮になりたいのかと訊ねた王に
―呼び名など、どうでも良いのです。
　躊躇なく応えてのけた。
　確かに言うとおりだろう、呼び名など百花にとっては取るに足らないもののはず。百花はあの時、〝尚宮〟になりたいと言ったのであって、〝特別尚宮〟になりたいと言ったわけではない。むろん、国王の寵愛を受けた女性が尚宮と呼ばれる場合は皆、〝特別尚宮〟であることは常識なのだから、詭弁と言えば詭弁と言えないこともない。