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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

「どういうおつもりにございましょう。殿下のご寵愛をひと度受けた特別尚宮が一般の女官と同様に掃除や洗濯をするなど、私は十九年間の後宮生活で聞いたことも見たこともありませぬ」
 その時、王は初めて、はたと気付いた。
―一つだけ、お願いがございます。 
 二日前に閨で見せた百花の懸命な面持ちが今更ながらに思い出される。
 自分はまんまと乗せられたのだ。
 百花はあの夜、確かに寵愛は受けると言った。だが、こうも言ったのだ。
 自分は今後も側室になるつもりはない。他の愛妾たちのように側室としての位階は要らないから、尚宮にしてくれと。

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