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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 初めて床を共にした夜、〝願いがある〟と言い出されたときには、正直、警戒したものだ。この娘だけは他の女のように俗っぽい願いなど口にはせぬだろうと思っていたのに、初夜の床でいきなり願い事を口にするとはと、いささか興醒めであったことは確かだ。
 しかし、百花は王が思ってもみなかったことを口にし、〝尚宮になりたい〟と願った。その願いを聞くまでは、宝玉の首飾りか指輪、はてまた、身内の引き立てを願うのかと考えていたのだ。

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