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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 一体、私が何を挑んだというの?
 私は、ただ夢を諦めたくなかっただけなのに。
 愛妾になんか、なりたくなかったのに。
「そなたは予がそなたに苦しみだけを与えているように申しているが、果たして、真実はどうなのであろうな。気持ちが良いのは予だけなのか? 先刻はそなたもさも気持ち良さそうに予を銜え込んでいたではないか。それこそ食いちぎられるかと焦ったほど、締めつけておったくせに」
「どうして、そんな酷いことを仰るのですか?」
 百花の薄紅色の唇が戦慄く。
 恥ずかしさと絶望で、このまま消えてしまいたかった。

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