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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 それにしても、もどかしいこと。
 楊尚宮は歯がゆい想いだ。素直になれというのなら、彼女は愼尚宮だけでなく、王にも同じことを言いたかった。王がここのところ塞ぎ込んでいる原因は、ずはり、恋煩いだ。
 十八歳、しかも、直に一児の父になろうとするというのに、これが初恋だというのだから、笑えない話である。もちろん、その初めての子の母親は愼尚宮ではない。
 その国王の初めての子の生母となる金淑儀はここのところ、どうも体調がよろしくない。まだ産み月までには三ヵ月もあるというのに、早くも脚にひどいむくみが出ている。浮腫は脚だけにとどまらず、身体全体にひろがり、可憐な花のようであった金淑儀の面は今や見違えるように醜く腫れ上がっている。

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