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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 楊尚宮には、王が心ここにあらずの原因はいやというほど判っていたが、敢えて素知らぬ顔で訊いた。
「殿下、愼尚宮のことにございますが」
 案の定、王の生気のない瞳に光が戻った。
「うむ、愼尚宮がいかがした」
 何げない風を装っているが、愼尚宮の話題が気になって仕方ないのは丸判りである。
 他の者はいざ知らず、母代わりをもって任じてきた楊尚宮には、王の心の内が手に取るように判る。幾ら冷静なふりをしていても、心の動きがちゃんと顔に出ている。

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