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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 良人は既に亡くなって久しいけれど、一人娘も既に嫁ぎ、人並みに孫を持つこともできた。女官としては稀に見る幸運な女性といって良いだろう。
 大抵の場合、乳人を務めても、一定期間が過ぎれば乳母は宮中を下がる。乳を差し上げる乳母と養育係の保母尚宮は別にいる場合が多かったのだ。楊尚宮は世子である義徳(ウイドク)大君(テーグン)(導宗)が懐いて離れなかったのと、既にその頃から導宗の母妃の健康が優れず殆ど寝たきり状態だったことから、そのまま王宮に残って保母尚宮となった。

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