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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

 そのいつになく思いつめた瞳の色が気になる。
「殿下、確か三月(みつき)前にも、そのようなことを仰せになりましたね。愼尚宮に対しては何かお考えになるところがあると」
―一体、それは何なのですか?
 乳母に声にはならない声で問いかけられた王は事もなげに言った。
「あのように頑なな女でも、予の子をその身に宿せば、少しは靡くに相違なかろう」
「もしや」
 楊尚宮は遣わしげな表情で訊ねずにはいられなかった。
「愼尚宮の懐妊をお望みなのですか?」

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