テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第4章 愛撫

「主上さまは身分を問わず誰にでもお優しいお言葉をおかけになりますが、実は滅多に他人に本心をお見せになりません。愼尚宮も恐らくは、主上さまと同じなのではございませんでしょうか」
 共に人を愛することに、心を開くことに必要以上に臆病になっている―のだとは流石に言えない。
 王は陰気な声で言った。
「良いのだ。予には予のやり方がある」
 楊尚宮はハッとした。これまで十八年間、王が生誕の砌からずっと側近くで見守ってきたが、これほどまでに昏い瞳をした王を見るのは初めてのことだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ